庭木や花木は一度植えてしまうと、なかなか移動は難しいものです。数年に一度の根回しで、正面位置を変えるのが良いとされていますが、ほとんどの場合がされていないのではないでしょうか。
したがって、できる限り植えた庭木や花木が元気に生長してくれるように、早く根付いてくれるように植え付けてあげて欲しいものです。できれば、ご自宅のお庭の庭木や花木は、ご自身の手で植えて欲しいと思います。そうすることにより、ご自宅のお庭の土の状態や日の当たり具合などを、良く知ることになり、植えた木に愛着が沸いて、肥料や水やりなどのお手入れも苦にならなくなるのではないでしょうか。
このページでは、庭木や花木をご自宅のお庭に地植えされる場合の植え付けの方法をプロの庭師が解説致します。
庭木の地植えの方法と手順
庭木は一度植え付けてしまうと移動するのは大変難しいので、植え付ける木がどの程度まで大きくなるのかを想像して、大きく成長したときの高さや幅を考えて植える場所を決めましょう。
庭木の植え付け方には、「水ぎめ」と「土ぎめ」という二通りの方法がありますが、基本的に水ぎめの方が活着しやすいと言われていますので、一般の方が植え付ける場合は水ぎめ法での植え付けをおすすめしますので、こちらでは水ぎめ法での植え付け方法を解説いたします。
植え付け時期
庭木や花木は、樹種によって性質もさまざまで、一年間のサイクルも異なっています。そして、庭木は種類によって最適な植え付け時期も異なっていますから、その樹木の適期に植え付けを行いましょう。
植え付け時期
①土づくり
元々肥沃な土壌であれば、土壌改良は必要ありませんが、やせた土地の場合は、根の深さの2倍程度の植え穴を掘り、掘り土の半分程度に腐葉土と堆肥を混ぜて植え穴に戻します。その上に掘ってでてきた、掘り土を10cm程度戻し、肥料が根に直接付かないようにしておきましょう。
②苗の準備
ポット苗、即席ポットは植え付ける時に苗をポットから外し、根を軽くほぐしておきましょう。適期でない場合は根をほぐさず、そのままの状態で植え付けます。根巻き物は、荒縄をはずさずとも、藁も腐ってしまうので、そのままにして植え付ける方が多いようですが、昨今の苗は全国から配送されて来るようになり、植え付ける場所の土壌とは異なる環境で生育した苗木には、根鉢の土の種類がさまざまで、中には粘土質であったり、砂がちの土であったりという場合もあるので、念のため、荒縄を外して土を確認しておきましょう。砂植えの場合は根に土を半分程度、粘土質なら大半を落として植え付けましょう。その方が庭土には早くなじんできます。
③苗木の切り詰め
庭木の苗木が1m程度であれば、30cm程先を切り飛ばしておきましょう。苗木は、植え付け後に仕立てていくので、しっかりとした枝づくりから始めてみましょう。切り詰めた苗からは勢いのある新芽が生まれ、必ず良い枝になっていきます。
④庭木の表と裏
盆栽には必ず正面がありますが、庭木にも表と裏があります。また、庭木は植え付け方によって、枝ぶりの見え方も大きく違ってきます。庭木の植え付けは、きき枝(長く伸びていて、木のバランスが良く、安定感をもたらす枝のこと)と幹のバランスが、おさまりの良い方向となっているかを良く確認してから植え付けましょう。
植え付け
①植え穴
植え穴は、根鉢より大きめに掘ります。目安は根鉢の1.5倍程度が目安となります。大きすぎるのも植え付けにくくなります。
②元肥
植え付ける際に、植え穴に堆肥や鶏ふん、化成肥料などを元肥として入れる場合がありますが、肥料が根に直接あたり、肥料焼けを起こす場合などもあるので、ご自身で植え付ける場合は、根付いた後に芽吹き始めたことを確認してから、追肥を施すということの方が良いかも知れません。
③浅植え
庭木の場合は基本的には「浅植え」にしましょう。四方に伸びる根が地表に見えるか見えないか程度の深さに植えた方が、発根も早く、力強い根を張ってくれます。
逆に深植えをしてしまうと、根張りや立ち上がりが地中深くになってしまいます。また地中深くは酸素も薄いため、呼吸が困難になり、根腐れの原因にもなる場合があります。
④水はたっぷり
水ぎめ法は、根鉢の半分程度の深さまで水を入れ、土が泥水の状態になった所で木を前後左右に揺さぶり、土を根の間に入れ込む方法です。水ぎめ法の場合は、水が少ないと根の間まで泥水が回らないこととなるので、たっぷりめに水は注いでおきましょう。
⑤支柱
1m以上の苗木を植え付けたら、支柱を立てておきましょう。植え付けたばかりの庭木は、まだ地中に根を張っていませんから、不安定です。
支柱には、「添え支柱」と「3本支柱」の二通りの方法がありますが、苗木や幼木の場合は、添え支柱で、中高木の庭木の場合には、3本支柱の方法を用いましょう。
庭木の植え付けは、やり方とその植物に適した時期が分かれば、ある程度は自分でも行えます。
ポイントは、その庭木の植え付けに適した時期に、適した植え付け方法で植え付けることです。樹木は生き物ですから、人間と同じように、酸素や栄養が必要なので、人と同じように大切に扱ってあげてくださいね。
どうしても難しいようなら是非ご用命くださいね。
それぞれ詳しく解説します。
執筆者:造園技能士 竜門 健太郎
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