【カナリーヤシ(フェニックス)】育て方の基本を庭師が伝授

解放感あるドライガーデンをつくろう!|【カナリーヤシ(フェニックス)】の育て方をプロの庭師が伝授します

南国の心地よい風を感じさせてくれる「カナリーヤシ」は、別名「フェニックス」と呼ばれる大きな葉が特徴のヤシ植物で、弓状にしなる葉は、まるで鳥が羽ばたいているようにも見えます。
絶大なインパクトを放つ「カナリーヤシ」は、リゾート感あふれるドライガーデンを演出するのには、ピッタリですよね。!
この記事では、「カナリーヤシ(フェニックス)」の特徴や育て方をご紹介します。

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目次

目次

カナリーヤシ(フェニックス)の基本情報
カナリーヤシ(フェニックス)の特徴
カナリーヤシ(フェニックス)の育て方
日当たりと置き場所
水やり
肥料
植え付け・植え替え
カナリーヤシ(フェニックス)の病害虫
カナリーヤシ(フェニックス)の剪定
まとめ

カナリーヤシ(フェニックス)の基本情報

属名 ナツメヤシ属
科名 ヤシ科
学名 Phoenix canariensis
英名 Canary date palm
和名 カナリーヤシ
別名 フェニックス
原産地 アフリカ西海岸、カナリア諸島
樹高 約15m前後
直径 約3m
葉長 約5m
区分 常緑樹
耐寒性 やや強い
耐暑性 強い
開花期 6月~8月頃
花色 淡い黄色
果実期 7~8月頃
果実色 橙色
用途 ドライガーデン、カルフォルニアガーデン、街路樹、観葉植物など

カナリーヤシ(フェニックス)の特徴

カナリーヤシは、開放的な風貌が人気のヤシ植物で、宮崎県の県木としても有名です。
最長15m前後にもなる樹高と、5m以上も弓状にしなる長い葉。その樹形は、鳥が羽ばたいている姿を連想させます。
別名は伝説上の不死鳥「フェニックス」と呼ばれるのも、自然と納得させられてしまうほど。

また、雌雄異株(しゆういしゅ)のカナリーヤシは、雌花と雄花を別々の株につけるという特徴もあります。

耐暑性・耐寒性があるので、関東以南の地域で街路樹として見かける機会も多いでしょう。
または、南国リゾート感あふれるホテルや、レストランのエントランスで目にしているかもしれません。

1本でもかなりの存在感を放つカナリーヤシは、ドライガーデンやカルフォルニアガーデンと相性のよい植物です。

カナリーヤシ(フェニックス))の育て方


ではカナリーヤシを育てる際には、どんなことに気をつければよいのでしょうか。育て方のポイントを紹介します。

日当たり・管理場所

カナリーヤシは、「明るく日当たりのよい場所」と「風通しのよい環境」で育てましょう。

アフリカ西海岸、カナリア諸島原産のカナリーヤシは、太陽の日差しが大好きな植物です。日光不足になると、葉の美しさをキープできなくなるので要注意。

まだ小さな株のうちは、「観葉植物として楽しみたい」とう人もいるかもしれませんが、できるだけ外の直射日光にあて、風に触れる時間をつくってあげてくださいね。

カナリーヤシの成長速度はゆっくりですが、巨木になるので地植えの場合は広い場所で育てるのがおすすめ。
南国ムードのガーデン設計を考えている人は、広い植栽場所を確保できるならぜひ候補の植物として検討してみてくださいね。

耐寒性があるカナリーヤシは、関東以南の地域では地植えも可能です。目安としては、-8℃前後までなら耐えられるでしょう。

万が一、寒さで葉に異変がおきしまったら、早めに防寒対策を施してください。葉に寒冷紗をかぶせ、幹に麻を巻き、寒さからカナリーヤシを守りましょう。

長くじっくりと楽しめる植物なので、大切に手をかけてあげましょうね。

水やり

鉢植えで管理しているカナリーヤシは、土の表面が乾いたら、たっぷりと水をあたえてください。
鉢底からあふれ出た水は、受け皿に溜めたままにせず、すぐに捨てましょう。湿った状態が続くと、根腐れや病気の原因になってしまいます。

地植えのカナリーヤシは、植え付け後の水やりは大切な作業のひとつです。しっかりと根付くまで、表土の乾き具合をチェックしながら水やりを行いましょう。根付いてしまえば、水やりの必要はなくなりますよ。

肥料

成長速度がスローペースなカナリーヤシは肥料をあたえなくても成長しますが、風格ある姿を早く楽しみたいという人は、成長を早めるために、定期的に肥料をあたえましょう。

5~9月の生育期に、緩効性化成肥料または有機肥料をあたえます。目安としては、2カ月に1回ほどのペースで充分でしょう。肥料焼けをおこさないように、株元から少し離した場所へ施すのがポイントです。

植え付け・植え替え

【植え替え】

カナリーヤシは、1~2年に一度を目安に植え替えを行いましょう。冬の休眠期と真夏の酷暑期を避けた、4~7月または9~10月がおすすめです。

成長速度が遅いカナリーヤシですが、根詰まりをおこすと葉が黄色く変色し、枯れてしまいます。
また、古い土は硬くなり、水分や栄養を吸収しづらいので、成長がストップしてしまうことも。
植え替えを行う際には、葉の根元近くの鋭いトゲに注意しながら作業してくださいね。

【植え替えで準備するもの】
・ひとまわり大きな鉢
・観葉植物用の土など(水はけのよい土)
・鉢底ネット
・軽石やゴロ土など
・グローブ
・緩効性化成肥料

【植え替えの手順】
1. ひとまわり大きな鉢底へ鉢底ネットをしき、軽石またはゴロ土を入れる
2. 観葉植物用の土などを3分の1ほど入れ、緩効性肥料を混ぜておく
3. カナリーヤシを鉢から抜きだす
4. 古い土を落とし、新しい鉢へ植え替えていく
5. 水をたっぷりとあたえ、日当たりのよい場所で管理する

【植え付け】

カナリーヤシを庭へ地植えにする際には、日当たりと水はけのよい場所選びが必須です。

水はけの悪い粘土質の環境は、事前に完熟堆肥や完熟肥料・軽石小粒・山砂・砂質など、植え付けする土壌へすき込んで土壌改良しておきましょう。

また、硬い土の環境下では、カナリーヤシの成長がさらに緩慢になってしまいます。
植え付けする場所は深めに穴を掘り、根が張りやすい環境をつくってあげましょう。根鉢の2~3倍の大きさを目安に穴を掘ってくださいね。

カナリーヤシ(フェニックス)の病害虫


病害虫に強いといわれているカナリーヤシですが、特に「ヤシオオオサゾウムシ」には要注意です。

「ヤシオオオサゾウムシ」に食い荒らされたカナリーヤシは枯れてしまいます。そして、最終的には伐採という悲しい結末になることも。害虫被害にあわないよう、薬剤を用いた対策が必要です。

この害虫のやっかいな点は、幹に侵入していることに気付きにくく、植え付けから数年経って枯れはじめるところです。

また、まだ小さな株のうちは観葉植物として、室内で管理している人もいるでしょう。風通しの悪くなる室内では、”害虫の定番”ハダニやカイガラムシが発生しやすくなります。

予防対策として、こまめに部屋の換気をし、霧吹きで葉水を行いましょう。それでも発生してしまった場合には、数が増える前に駆除するのが必須です。

なるべくなら、殺虫剤を使いたくないという方は、ハダニは水で駆除し、カイガラムシは歯ブラシを使ってこすり落としてしまいましょう。
こまめにチェックしながら、晴れた日には屋外の日光と風に当て、害虫からカナリーヤシを守りましょう。

カナリーヤシ(フェニックス)の剪定


カナリーヤシらしいカッコイイ姿を保つためにも、剪定は欠かせない大切な作業です。古くなった葉は、放置せずに剪定してあげましょう。

カナリーヤシの茶色に枯れて垂れ下がる葉は、剪定バサミを使って根元からカットします。剪定を行う際には、カナリーヤシの鋭いトゲに注意しながら作業してくださいね。

また、大きな葉は切りにくいので、小さなノコギリが必要となりますので、自分で剪定するのが難しいと感じるときには無理をせず、専門業者に任せるというのもひとつの手ですよ。

まとめ

不死鳥(フェニックス)の別名を持つカナリーヤシは、病害虫にも強く、育てやすいヤシ科の植物です。
威風堂々たる佇まいからは、「南国の開放感」と「カナリーヤシの放つオーラ」を感じてしまうでしょう。
南国情緒あふれる光景を、ご自宅の窓から眺められる毎日・・・リゾート地で目覚めるような、さわやかな朝なんて素敵ですよね。
ドライガーデンのシンボルツリーとして、カナリーヤシの成長を見守りながら、寛ぎの暮らしを手に入れましょう!

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執筆者:造園技能士 竜門 健太郎

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