庭木の移植に最適な時期と方法を庭師が伝授

庭木の移植を考えるタイミングの多くは、お家の建て替えやリフォームの時です。樹木の移植は種類や大きさよりますが植えつけて5年以上経っていると根がしっかり張っているので何も考えずに移植してしまうと枯れるリスクは高くなります。しかし樹の種類によってそれぞれ移植に適した時期や方法があり、枯れるリスクを減らすことができます。このページでは、庭木や植木の移植の時期、移植方法、移植の注意事項について、プロの庭師が解説しています。

目次

目次

庭木の移植は木にとって負担が大きい
庭木の移植時期
 落葉樹 | 常緑樹 | 針葉樹
庭木の移植時期カレンダー
庭木の移植で注意すること
 生育環境 | 樹勢 | 移動運搬距離 | 移植前作業 | 移植時の注意点 | 支柱による固定

庭木の移植は木にとって負担が大きい

まずはどうして枯れてしまうのか説明すると樹木の根には木を支える太い根と水分や栄養分を吸い上げる細い根があります。誤解されてる方も多いかもしれませんが、重要なのは水分を吸い上げる役割の細い根です。しかし移植の際にはどうしても四方の根を切らなければいけないので、この細い根も切ってしまうことになり、そのまま細い根が無い状態だと、今まで通り水や栄養分を吸い上げる事が出来なくなり枯れてしまいます。そこで移植の前に根を切ってその切ったところから新たに細い根を発生させる方法が移植時によく行われる「根回し」になります。根回しを行う時期に関しては発根しやすい春先から遅くとも秋口くらいまでにしたほうが良いでしょう。手順はまず根回しをして、細い根を新たに発根させてからの移植になるので、根回しをしてから半年から1年後の移植になります。忘れてはいけないのが移植で根を切るので、移植後は剪定を行い、枝葉の数を減らして葉からの水分の蒸散量を減らすことも大事です。
植木屋さんの木が直ぐ植付けできるのはこの根回しと不要な枝葉を落としているからです。

庭木の移植時期

落葉樹

移植・植え付けに適した時期11月下旬~3月初旬
代表的な落葉樹
サクラ、ウメ、サルスベリ、モミジ、アオダモ、など
落葉樹はその名の通り、秋から冬にかけて葉が落ちる樹木です。葉が落ちると休眠期に入るので、この時期に植え替えをすると良いでしょう。休眠中の植物は根の動きが緩慢になるので、植え替えを行ってもあまり影響を受けません(反対に、根の活動が活発な春・秋に植え替えを行うと傷んでしまうので要注意です)。
寒さに強いツルバラや、つぼみの付いていないボタンなどは真冬に移植しても問題ありません。
ユキヤナギ、ウメなどの早春に開花するものは前年の11月~12月中に植え替えを済ませておくと良いでしょう。
反対に春の芽出しが遅いサルスベリ、ザクロ、ノウゼンカズラ、アオギリなどは春の彼岸が過ぎてから移植するぐらいで大丈夫です。

常緑樹

移植・植え付けに適した時期6月~7月
代表的な常緑樹
シマトネリコ、オリーブ、ツツジ、ツゲ、ヤマモモ、シラカシ、シルバープリペットなど
常緑樹は春から梅雨時期の植え替えがオススメです。ただ雨が良いというわけではなく、春から伸び始める新しい枝が成長期に入り、植え替えた後の根の成長が盛んになるのでこの時期がオススメです。常緑樹は冬でも葉があるので水を吸い上げていて、冬に移植すると根回しで切った根が伸び出す春時期まで水があまり吸えないため、最悪の場合枯れてしまう可能性があるので冬時期は避けましょう。
ツバキ、ジンチョウゲ、ツツジなどが早く固まりますので、3~4月に植え替えを行っても大丈夫です。
同じ常緑樹でも寒さに強いツゲ、マサキ、アセビなどは春や梅雨時期のほか10月の温暖なシーズンにも移植が可能です。
逆に南国産のクスノキ、クロガネモチ、アカシア、ユーカリ、ドラセナなどは寒い時期は避け、5~6月、8~9月の高温時の方が根の伸びがよく、その後も順調に成長します。

針葉樹

移植・植え付けに適した時期3月~4月、9月~10月
代表的な針葉樹
マツ、スギ、マキ、カイヅカイブキ、キャラボク、イタリアンサイプレス、コニファーなど
針葉樹は初春もしくは初秋がオススメなのですが、環境変化に強い植物なので2月(真冬)と8月(真夏)を除けば一年中いつでも移植は可能です。針葉樹の葉は細くて硬いので寒暖に強く、穏やかな日本の気候であればそれほど時期を考えなくても必要はありません。
針葉樹の代表格であるマツなどは「みどり」(松の新芽で空に向かってツンツン伸びているもの)が伸びだす2~4月頃が一番良く、「みどり」が伸び切った6月頃では遅いとされています。

庭木の移植時期カレンダー

庭木によく使われている樹木の移植時期カレンダーをご用意しました。樹種により最適期、適期が異なりますし、地方により環境が異なりますのでご注意くださいね。

庭木の移植で注意すること

移植における注意点は、できる限り移植前の環境と同じような育成環境を保つということと、移植の時期、移植方法を間違わないということが最も重要です。

生育環境

移植する樹木は、今はどんな場所に生えていますか。日当たり、気温、地質やお水など、今植えられている環境を良く知ることで、移植方法や難易度など、移植を行うための作業方法が明確になります。移植後の育成環境をできる限り、今生えている環境に近づけることが移植成功のポイントです。

樹勢

まずは樹勢を確認しましょう。樹勢は、樹木の高さ(樹高)、幹などの形状、樹木の傾き、樹齢、樹冠の形状(自然樹形、自然相似樹形、人口樹形)、枝葉の密度とバランス(葉の色や大きさ)、剪定等での切り口の状況、病害虫による被害状況などを参考として、移植が可能かどうか判断していきましょう。

移動運搬距離

移植する樹木の移動運搬距離は、植え付け後の活着に大きな影響を与える場合があります。遠距離で長時間の移動を伴う場合の移植では、枯損の原因となるため、幹や枝葉の保護が重要になってきますので、保護材などを使用して養生をおこなっておきましょう。

移植前作業

樹木の移植時は、根の切断などが伴うため、水分の吸収が弱くなります。弱くなった吸収力でも樹勢が保てるだけの、枝や葉の量になるように、予めの剪定を行っておく必要があります。
また、太めの枝の切断部や断根部の腐敗防止として、腐敗防止剤などを用いて保護しておきましょう。

移植時の注意点

移植先の環境が以前の場所と大きく異なっていたり、移植に向かない時期などにどうしても移植を行う場合などには、蒸散抑制剤の散布や発根促進剤などを用いて活着率を高めるようにしておきましょう。

支柱による固定

移植した樹木が風雨や人などの接触により、傾いたり倒れたりしないように、支柱による固定を行いましょう。グラグラしている場合は、発根率が低下したり、倒壊などの危険な場合もあるので、支柱による固定は必ず行っておきましょう。

まとめ

庭木の移植は、コツを掴めばどなたでもできそうな作業ですが、移植の時期ややり方は樹木の種類に応じた最適な方法がありますので、よく調べた上で行ってくださいね。綺麗な庭で皆様の暮らしが豊かになれば幸いです


執筆者:造園技能士 竜門 健太郎

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