素敵なガーデンを夢見つつも、忙しくて後回しになっていた皆さん。おうちにいる時間が増えた今が、庭リフォームを検討するよいチャンスです。そんな皆さんの選択肢の一つに入れていただきたいのがドライガーデンです。たまに見聞きする「ドライガーデン」っていったい何?!特に個性派の男性・女性に人気がある、ドライガーデンの魅力に迫りたいと思います。
ドライガーデンって何?
「ドライガーデン」とは、日本では、乾燥を好む植物で統一して植栽したガーデニングスタイルをイメージした総称として知られています。サボテンや多肉植物などメキシコや南アメリカ、砂漠地帯などの乾燥地帯に自生する植物と乾燥した砂利や石を用いるのが特徴です。
アメリカ西部のアリゾナのような乾燥地帯を模倣して、水はけのよい土を、乾燥した岩や化粧砂利で装飾するので、海外では「アリゾナガーデン」や「デザートガーデン(Desert=砂漠)」などと呼ばれます。
またサボテンをメインに使用する場合は「カクタスガーデン(Cactus=サボテン)」、多肉植物をメインにする場合「サキュレントガーデン(Succulent=多肉植物)」、ヤシをメインにする場合は「トロピカルガーデン(Tropical=熱帯風)」などと呼ばれることもあります。
ドライガーデンのメリット・デメリット
ドライガーデンにはメリット・デメリットとしてそれぞれ次のようなことが挙げられます。
ドライガーデンのメリット
地面がぬかるむのは、基本的にはその土地の土質が一番の原因。粘土質や赤土質、園芸用などで知られる真砂土(まさつち)などが敷かれている場合が多いですが、粘土質系の地盤は浸透性が低く水はけが悪い。更に水を含んだ後は水が抜けぬくいという特徴があります。また、元々田んぼだった場所に真砂土などを入れて造成した場合などは、下が粘土質で表面が真砂土というケースも多いようです。
お手入れが簡単
ガーデニング初心者からするとハードルが高そうに感じてしまいますが、コツさえ掴めばむしろ他のガーデニングスタイルより比較的メンテナンスも簡単です。
水はけの良い土と乾燥を好む植物で作るお庭なので、一般的な低木と比べると水やりの手間が少なく、ほったらかしでもいいというのが最大のメリットです!
水やりの時間が取れない方や、庭づくり初心者の方にもおすすめです。
個性的な見た目でインパクトのあるお庭に
ドライ植物は個性的なフォルムの植物が多いため、小さいスペースに植栽するだけでもインパクトのあるお庭になります。
例えば、目隠しフェンスの下に植栽をしたり、土の無いスペースならプランターガーデンにすることでも楽しめますよ。
通年変わらない見た目を楽しめる
ドライ植物は樹形が崩れにくい植物が多く、通年美しい見た目を維持しやすいため、どの季節でも変わらず楽しむことができます。
お庭の雰囲気や外観をお洒落にしたい方、季節変えたくないという方にもおすすめなガーデンスタイルです。
ドライガーデンのデメリット
気候によっては適さない植物も
ドライ植物は暑さに強い植物が多いですが、耐寒性はやや低いです。0℃を下回る地域では越冬できない可能性もあります。
折角植えても枯れてしまっては悲しいばかりなので、植える際の樹種選びには注意してくださいね。
ドライガーデンの似合う家は?
ドライガーデンがどんな家に合うのかというと、洋風の住宅ならどんな家でもよく似合い、オシャレに植栽することができます。しかし、和風の住宅に似合わないかというと、そういうわけでもありません。昔ながらの昭和の住宅の、日当たりのよいお庭から巨大なユッカやアガべが花を咲かせているのを見かけたこともあります。上の画像は洋風住宅にドライガーデンのコーディネートですが、本格的なドライ系植物のサボテンを主体にしたデザインです。ドライ系の植物は、暖かい地方の植物なので冬に弱いかと思いきや、ひとたび根付いてしまえば日本の冬も越せる品種も多くあるようです。ただし、種類や株の大きさなどによっても耐寒性は異なり、育てる環境によっても変わるため、専門家のアドバイスを参考にして大切に育てましょう。
ドライガーデンの作り方
では、ドライガーデンはどこに気を付けて作ったらよいのでしょうか。ドライガーデンの土づくりと、気候・水やり・肥料などお手入れのポイントをまとめてみましたのでご覧ください。
ドライガーデンの土づくり
ドライガーデンは土づくりさえ間違わなければ、放っておいてもよく育ちます。でも、ドライガーデンの植物が良く育つにはどんな土がふさわしいのでしょうか。ドライガーデンに用いる植物は、基本的に乾燥地帯の多肉植物ですので、まず一番に注意するのは「水はけと通気性のよい土」にするということです。日本の高温にはよく耐えますが、種類によっては加湿に弱い植物が多いので注意が必要です。
梅雨時や台風、大雨で水たまりができるような土地なら、水はけを良くする必要があるので、土を盛って山にしましょう。具体的には、20cm~50cmの深さをバーク堆肥とパーライトをブレンドした通気性のよいものにしましょう。
ドライガーデンやドライ系の植物について、よく分からない場合は、ドライ系の多肉植物に詳しい庭.proにお任せください。
ドライガーデンのお手入れのポイント
ドライガーデンは乾燥を好む植物がメインなので、水やりの手間が少ないことがメリットですが、品種ごとの特性を知って、適度な水やりや温度管理、日照対策を行う必要があります。
お手入れのポイント① 気候
ドライガーデンに植える植物の多くは日当たりの良い場所を好みますが、品種によっては真夏に「日焼け」することもあるのでよく観察しましょう。半日陰でも育ちますが、葉色が悪くなったり花が咲かなかったりすることもあります。耐暑性は高いので日本の夏は問題なく過ごせますが、耐寒性はやや弱く、大半が0℃以上が好ましいとされます。室内などで風通しが悪いと病害虫の被害に合い易い品種もあるので要注意です。
お手入れのポイント② 水やり
庭植えの場合の水やりは、雨がたまに降っていれば全く与えなくてもよいので、育て方はラクチンです。何日も雨が降らない日照りの時だけは水やりするようにしましょう。
もしドライガーデンの中に水を好む植物を植えたい場合は、乾燥を好む植物とゾーニング分けするとよいでしょう。
逆に表面が乾いているからと水をやり過ぎると根腐れします。特に冬場は吸水率が下がるので、品種によっては断水するなどしてコントロールします。
ただし、夏の日照時間が長い期間は、ドライ系植物の成長期になります。晴れた日の朝は水をたっぷり与えて、夏の直射日光に2時間~3時間以上当てると、成長速度が速くなるものも多いです。水枯れや日焼けに注意しながら試してみましょう。
お手入れのポイント③ 肥料
痩せた土地に自生していますので、肥料もさほど必要としません。むしろ、肥料のやりすぎは害となります。やるとしたら、春から秋の成長期に1度、化成肥料を与えるとよいでしょう。
ドライガーデンに向いている植物10選
① アガベ(学名:Agave)
アガベは、リュウゼツラン属の総称で、単子葉植物です。日当たりのよい場所を好み、耐寒性、耐暑性共に強いとされ、最低気温5℃を下回らない地域なら屋外で冬越しますので西日本では庭植えにも適しています。風通しが悪いと病害虫の被害にも合います。アザミウマやカイガラムシに注意しましょう。
② ユッカ(学名:Yucca)
ユッカはリュウゼツラン科イトラン属の植物の総称です。青年の木とも呼ばれ、葉が上を向いているところから、風水では仕事運が上昇するとのことで開業祝などにも送られます。寒さにはやや弱く、冬場は吸水率も下がるため、水やりや控えたほうが良いでしょう。本来は日がよく当たる場所を好みますが、室内の日の当たる窓際などでも十分育ちます。
③ ウチワサボテン(学名:Opuntioideae)
「ウチワサボテン」はサボテン科の亜科のひとつで、うちわのように平べったいのが特徴です。サボテンの別名「仙人掌」にふさわしい姿をしていますね。黄色いかわいらしい花を咲かせます。ドライガーデンにおすすめのサボテンは他にも「柱サボテン・鬼面角」「ベンケイチュウ」などがあります。大半は寒さにも強く、気温が0度を下回る場合は水やりを控え断水します。寒さに弱い品種でも5℃以上を保っていれば冬越しは可能ですが、近年の大寒波の襲来や雪や霜が降りる地域での屋外越冬は難しいので、防寒対策が必要でしょう。
④ コルジリネ(学名:Cordyline fruticosa)
中国南部~オーストラリア北部が原産地です。日光に当てないと発色が悪くなるので日当たりの良い場所で育てましょう。よくドラセナと混同されますが、コルジリネには地下に多肉質の根茎があり、夏場は土の表面が乾いていたら水やりをし、特に冬は乾燥気味に育てましょう。土の表面の乾きを確認しても2〜3日放置してから水を与えましょう。
⑤ ソテツ(学名:Cycas revoluta)
和名はソテツ(蘇鉄)です。日当たりと乾燥した場所を好みます。耐寒性はやや弱いですが関西以西の太平洋側なら屋外でも育ちます。真冬に寒くなる地域なら、下1/3ほど古い葉を切り捨てて、幹をコモで巻いて冬越しするとよいでしょう。乾燥に強いので地植えではほとんど水やりの必要はなく、手のかからない品種をお好みの方にはおすすめです。
⑥ カレックス(学名:Carex)
カヤツリグサ科カレックス属の宿根草です。耐寒性、耐暑性ともに強く、日なたでも日陰でもよく育ち、水はけがよく通気性のある土が適しています。銅葉の「カレックス・ブロンズカール」などのカラーリーフを上手に使うと、かっこいいドライガーデンに仕上がりますよ。背丈の30cmほどの小型カレックスを、背の高いものの手前に植えるとよいでしょう。
⑦ オリーブ(学名:Olea europaea)
モクセイ科オリーブ属の常緑高木です。少し値段は張りますが、オリーブの古木は何とも言えない風情を醸し出しますので、ドライガーデンにおすすめです。関東以西なら地植えで育ちますよ。弱アルカリ性を好みますので、pHを6.5~7.0程度に調整します。他の植物とpHが合わないようなら、鉢植えにしてドライガーデンに組み合わせるのもよいでしょう。
⑧ ナツメヤシ(学名:Phoenix dactylifera)
ヤシ科ナツメヤシ属の高木です。日光を好み、寒さにはやや弱いですが、霜が降りない関西以西なら屋外で育つので西日本なら庭植えでも冬越しします。乾燥に強くドライガーデンにおすすめです。旧約聖書には「エデンの園の果実」と書かれているそうです。雌雄異株ですので単体では実がなりません。
⑨ ストレリチア(学名:Strelitzia)
ストレリチアというと馴染みがなくても「極楽鳥花」といえばご存じの方もいるのではないでしょうか。色味が少なくなりがちなドライガーデンに彩りを添えます。
ストレリチアは南アフリカ原産の熱帯植物ですが、比較的寒さにも強いので、西日本なら庭植えで育てることができます。
⑩ パンパスグラス(学名:Cortaderia selloana)
パンパスグラスはイネ科シロガネヨシ科の植物で、南米大陸原産で日当たりのよい乾燥気味を好むため、ドライガーデンによく合います。秋になると大空に向かって巨大な白い穂を上げ、みごとです。その姿から別名「お化けススキ」とも呼ばれます。
ドライガーデンの施工例とデザインのポイント
ドライガーデンの施工例① 遠近感を出す
ドライガーデンを上手に作るには、手前側に背の低いものを、奥側に背の高い植物を植えて、実際より広く見えるような遠近感を出すとよいでしょう。ドライガーデンに植物を植える時は、詰め込み過ぎず、間隔をあけて不等辺三角形(3辺とも長さの違う三角形)の三点の上に植えるようにしてみましょう。
ドライガーデンの施工例② 玄関アプローチの小道
イングリッシュガーデンのボーダーガーデンのようにぎっしりと植えるのではなく、隙間をあけて植えるのも乾燥地帯らしさを演出できます。ごく普通の砂利敷きだった場所に、乱形の敷石と、ユッカやアガベ(リュウゼツラン属)などを、ポツリポツリという感じに植えると雰囲気ががらりと変わって、異国情緒が生まれます。
ドライガーデンの施工例③ 石階段に植えて高低差を出す
石段の両脇に、アガベなどを植えて、コロラド山脈の岩山の風景を作ってみませんか。サボテンなどトゲがあるものだと、通路にはみ出したら、通った時にケガをしてしまう恐れがありますので、人の動線には、小さな多肉植物や背丈の低いグラス類など危なくないものを植えましょう。
ドライガーデンの施工例④ 多肉植物の鉢植えやプランターで飾る
ドライガーデンというと、比較的大型の多肉植物を直接土に植えるイメージがありますが、あまりスペースがない場合や地植えできない場合は、鉢植えやプランターを使ってドライガーデンを楽しみましょう。鉢植えなら育てるのが難しい多肉植物や、耐寒性がなく、真冬になったら家に取り込みたい多肉植物も、気候がよいときだけ屋外に出したりと移動することもできます。プランターだからと言って小さい鉢植えばかりとは限りません。今人気なのが、多肉植物を寄せ植えした大型プランターです。これなら、マンションのベランダにも設置できますし、「大型の多肉植物を育ててみたいけど、もし枯らしてしまった時や飽きた時が心配…」という方にもおすすめです。
庭家plusでは、プランタードライガーデンのオリジナルプランをご提供しています。ヘアサロンや飲食店、マンションのベランダなどにもご提供していますので、お気軽にお問合せください。
ドライガーデンの施工例⑤ ビカクシダを壁面に飾る
それでもスペース的に厳しい場合は、壁面ドライガーデンを楽しみましょう。今流行りの「ビカクシダ(別名コウモリラン)」もジャンクな雰囲気を醸し出し、ドライガーデンによく合います。水苔で板張りにしたビカクシダを壁面に飾るとオシャレな雰囲気になりますね。こうして見ると、まるで鹿の頭のはく製のようで、なるほど、ビカクシダという名前がよくついたものだと感心します。
ドライガーデンにおすすめの石は?
ドライガーデンの別名を「アリゾナガーデン」と呼ぶと先ほど記しましたが、アリゾナ州の地名は知っていても、アリゾナってどんな場所なのか、いまいちピンと来ない方もいらっしゃるでしょう。ところが「アリゾナは、グランドキャニオンがある場所」と聞けば、誰でもすぐに、茶色い乾燥した石がゴロゴロしているイメージが湧くと思います。
ドライガーデンは、多肉植物と石の組み合わせで構成されていますので、石選びもデザインの重要なポイントになります。
大きい石を使用できれば、野趣あふれるロックガーデンになりますが、一般家庭では大きな石で造るのはなかなか難しいかもしれません。もし今後、庭のリフォームをしたくなった時に、大きな石は撤去費用が高額になってしまうかもしれませんので、将来のこともよく考えて計画を立てましょう。
どんな色の石を使うかによって、ナチュラルな雰囲気になったり、スタイリッシュなイメージなったり、ファンタジックになったりと印象が変わります。ドライガーデンの石は、イメージ的に表面が荒々しく削れた天然石が似合いますが、玉石で作っても繊細で面白いかもしれません。お好みに合わせて選びましょう。大きめの石で縁取って、中に粒の小さな化粧砂利を敷いたり、バークチップなどを敷いたりしてもよいでしょう。
カラー見本として、ご自宅に設置するドライガーデンのイメージを膨らませてみてくださいね。
ドライガーデンにおすすめの石① 黄色系の石
黄色系の石は、ナチュラルでありつつ、優しいイメージです。奇をてらったところがなく、素朴ながらヨーロピアンな印象もありますので、一般的な洋館によく合います。初心者でも一番使いやすいカラーかと思います。
ドライガーデンにおすすめの石② 茶系の石
茶色系の粗削りな石は、ドライガーデンの故郷、アリゾナや西部劇の世界を彷彿させるカラーです。ドライガーデンらしさを求める方には茶色の石で、角が残った割れたままの天然石がおすすめです。多肉植物をはじめ、どんな植物にもよく似合います
ドライガーデンにおすすめの石③ 白系の石
白い石を使ったドライガーデンは最近よく見かけるエクステリアです。エレガントで、強い日光を反射して美しく輝きます。角のある大き目の砕石で縁取りをして、中に白玉砂利を敷いてもよいでしょう。できれば、土壌の茶色が見えないように白で統一すると地中海風になり、多肉植物やオリーブの古木がよく映えます。
ドライガーデンにおすすめの石④ ピンク系の石
ピンクの石と聞くと「不自然なのでは?」と思いがちですが、ピンクの石はとてもナチュラルで初心者でも使いやすい色なんですよ。ピンク+白玉砂利の組み合わせもおすすめです。エステティックサロンなど女性をターゲットにした商業施設にもよく合いそうですね。
ドライガーデンにおすすめの石⑤ 黒系の石
筆者が個人的におすすめなのは、黒系の石のみを使ったドライガーデンです。黒は熱帯植物や多肉植物の個性を引き立たせて、より美しく見せてくれますよ。フェンスなどのエクステリアをモノトーンでまとめたスタイリッシュな住宅によく似合います。
まとめ
今人気のドライガーデンについてまとめてみました。ドライガーデンの植物選びや施工例、石のカラーなどを見て、大体のイメージがつかめたと思います。一見ハードルが高そうに見えるドライガーデンですが、植物の種類に合せた土選びとお手入れ方法を理解すれば、ガーデニング初心者でも育て易く、温暖な地域には相性が良いことが分かりましたね。
ウッドデッキや敷石や石段などのエクステリアと上手に組み合わせて、オンリーワンのドライガーデン作りにチャレンジしてみてくださいね。SNS映えすること間違いなしです。
庭家plusはドライガーデンのお庭づくりのプロが、一人ひとりの好みや希望にあったおしゃれなお庭づくりを提案し実現します。
事前にお庭の日の当たり方や風の通りなど、ドライガーデン向きの植物の生育環境を確認し、お庭をデザイン、ご提案から施工まで行います。
とにかくプロの手で素敵なドライガーデンをつくってほしいという方は、すべておまかせでもOK!造園のプロが植物の日々のお手入れなどについても、アドバイスしますのでご安心ください!
人と違うオシャレな雰囲気のお庭をつくりたいけど自分でつくるのは自信がないからプロにお任せしたいという方、ドライガーデンのお庭をデザイン、施工してくれるガーデンプランナーや業者を探しているは、ぜひ庭家plusへご相談くださいね!
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